RPAツールおよびRPA支援ツールを比較するときに注目したいポイント

2020年03月18日

RPAツールを選定するロボット

RPA(Robotic Process Automation)は、人間がパソコンで行っているデスクワークをソフトウェアがかわりに実行するソリューションです。 RPAに適しているデスクワークは「反復性が高く・定型化した業務」です。 パソコンの中にいるロボットが、人間のかわりにルーチンワークをこなしてくれる、と表現すればわかりやすいかと思います。

RPAに対しては「スケールメリットを受けやすい大企業に適しているが、そうでなければRPAを導入する効果は薄い」というイメージをお持ちではないでしょうか。 たしかに、RPAが流行しはじめた当初は、多くの業務を自動化しなければ導入コストに見合った効果を得られませんでした。

ですが、現在ではRPAツールにもさまざまな導入形態があり、自社にとって最適な導入形態を選びやすくなっています。また、RPAの導入や運用を支援してくれるツールも登場しています。RPAを導入するハードルは、着々と下がっているのです。

ここではRPAツールおよびRPA支援ツールを比較するときに注目したいポイントを解説します。

最近のRPA事情

まず、最近のRPA事情についておさらいしましょう。

日本では2018年ごろから、RPAが一気に注目を集めるようになりました。 2016年の日本国内におけるRPA市場規模は数億円から数十億円程度でしたが、2018年には市場規模が数百億円になりました。 まさに桁違いの成長をとげています。2020年現在では、年商1000億円以上の大企業の過半数が1つ以上のRPAツールを導入しています。

RPAツールを複数導入している大企業も多くあります。複数のRPAツールを導入している理由は「比較・テストのため」「使い分けのため」「冗長化のため」など、さまざまです。

大企業はおおむね、すでに「RPAが有効かどうか」という検討の段階を終えているといえるでしょう。 今後は「適用範囲の拡大」「より自社に合ったRPAツールの比較検討」といった、応用の段階に進むと考えられます。

中小企業においても、RPAを本格的に導入する動きがあります。 従来、RPAツールの利用にあたっては高額なライセンスを支払い、ソフトウェアロボットを動かすためのパソコンを確保する必要がありました。 したがって、スケールメリットを受けづらい中小企業はRPAの導入に踏み切れませんでした。

ですが最近になって、従量課金制のRPAツールや、利用する機能を細分化することで柔軟な料金プランを選べるRPAツールが登場しています。提供の形態も、デスクトップ型、サーバー型、そしてクラウド型と、種類が多くなりました。これにより、中小企業でも現実的にRPAの導入を検討できるようになりました。

また、従来はRPAを導入する段階で特に大きなコストがかかっていました。 大企業に比べると体力にとぼしい中小企業では、RPAをスムーズに導入できなかったときのダメージが相対的に大きくなります。 ですが、現在ではRPAの効率的な導入をサポートするRPA支援ツールが多く登場しています。

適切なRPAツールを選び、RPA支援ツールもあわせて活用すれば、中小企業であってもRPAのメリットを受けられる環境が整いつつあるのです。

RPAツールを比較するまえに

RPAの導入を検討するときにもっとも考慮すべきことは、費用対効果がプラスになるかどうか、ということです。RPAは、導入しさえすれば人件費が削減できるというものではありません。 RPAに適していない業務をむりやりRPA化しても、コストだけがかかってしまいます。

いっぽう、RPAの導入がうまくいけば、メリットは人件費の削減にとどまりません。 ルーチンワークから解放された従業員がコア業務へ集中できる、社内における業務の標準化が進む、というメリットも期待できます。

したがって、RPAツールを比較するまえに「RPA化すべき業務」を洗い出す必要があります。「RPA化できる業務」でも「RPA化したい業務」でもありません。 「RPA化すべき業務」を洗い出すときは、以下の項目を満たしているかどうかが目安となるでしょう。

  • 反復性が高い
  • 全ての手順を言葉で明確に説明できる
  • 業務時間に占める割合が大きい

これら全てを満たす業務は「RPA化すべき業務」である可能性が高いといえます。特に見落としがちなのが「2. 全ての手順を言葉で明確に説明できる」という点です。

たとえば表計算ソフトに数値を入力する、という業務をRPA化するとします。このとき、数値を入力する位置は「行」と「列」まで細かく指定する必要があります。 1つ列がずれただけで、RPAは意図通りに動作しなくなります。 人間ならば入力すべき場所は「見ればわかる」ことですが、RPAツールにとっては「言われなければわからない」ことなのです。

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RPAツールを比較するときの注目ポイント

RPAツール比較検討ポイントの紹介

RPA化すべき業務があり、自動化することで費用対効果がプラスになりそうであれば、RPAツールを比較する段階に入れます。 以降ではRPAツールを比較するときに注目したいポイントを解説します。

デスクトップ型かサーバー型か

RPAツールは大きくわけてデスクトップ型とサーバー型の二種類があります。比較対象のRPAツールがどちらのタイプなのか把握しておきましょう。

デスクトップ型は一般的なパソコンにRPAツールをインストールします。業務で使用しているパソコンを扱う感覚でソフトウェアロボットを作成できる、という手軽さがデスクトップ型のメリットです。いっぽうで、ソフトウェアロボットを動かすためのパソコンを用意する必要があります。 また、端末ごとにライセンス契約を結ぶ必要があるため、導入規模の拡大に比例してコストも大きくなっていきます。

サーバー型はソフトウェアロボットを動かすための社内サーバーを設置します。 社内ネットワークを整備する必要があるため、技術的な難しさがネックになるでしょう。 サーバー型は、デスクトップ型に比べるとひとつのライセンス費用は割高になります。 ですが導入規模が拡大するとコストが割安になっていきます。デスクトップ型で効果を確認できたらサーバー型に移行する、といった長期的なプランを考慮してもよいでしょう。

オンプレミス型かクラウド型か

デスクトップ型とサーバー型のほかに、RPAツールはオンプレミス型とクラウド型の二種類にもわけられます。 業務の内容によってはクラウド型が適している場合もあるため、比較の候補にあげておきましょう。

オンプレミス型の場合、RPAツールを自社のパソコンやサーバーで動かします。 オンプレミス型のRPAツールは、私たちが普段の業務で利用しているアプリケーションをそのまま操作できます。

クラウド型の場合、RPAツールはインターネットのクラウド環境で動作します。クラウド型のRPAツールはWEBブラウザしか操作できない、というデメリットはありますが、ライセンス費用はオンプレミス型に比べて割安です。すでに業務でクラウドサービスを利用している、あるいは業務で利用しているソフトウェアをクラウドサービスで置きかえられるなら、比較・検討する価値はおおいにあるでしょう。

RPA支援ツールを比較するときの注目ポイント

RPAの普及にともない、さまざまなRPA支援ツールも提供されるようになりました。特に、RPAの導入をサポートするツールに注目が集まっています。
今後もRPA市場は拡大を続けていく予測が立っていますが、その中でも導入支援ツールなど関連サービスの成長が顕著であるという見方がされています。

先にも挙げたようにRPAを導入するためには、RPA化すべき業務を洗い出す必要があります。 従来は業務担当者へ、人がヒアリングすることでRPA化すべき業務を洗い出すことがほとんどでした。ですが、ヒアリングだけでRPA化すべき業務を洗い出すことにはさまざまな課題があります。

まず、ヒアリングを実施する側、ヒアリングを受ける側、どちらにもリソースが必要です。 特にヒアリングを受ける側は、日常の業務をこなしながらRPA化する業務の洗い出しも行う必要があるため、負担が大きくなります。

また、ヒアリングによって得られた意見が妥当であるとは限らない、ということも課題のひとつです。 ヒアリングには少なからず業務担当者の主観が含まれます。特に業務担当者にとっては「RPA化すべき業務」と「RPA化したい業務」の区別をつけることが難しくなります。ヒアリングを実施する側は業務の専門家ではないため、担当者の意見が妥当かどうかを判断することが困難です。

RPA支援ツールは、このような課題を解決するためのものです。 RPA化すべき業務を自動的に洗い出せたなら、ヒアリングは「自動的に洗い出した業務はこの通りだが、業務担当者としてはどう考えるか」といった具体的な検討を進める場となります。

ここではRPA導入支援ツールの例として、タスクマイニングツールとプロセスマイニングツールを解説します。

タスクマイニングツール

ここでいうタスクとは、業務における作業の最小単位です。タスクを繋ぎあわせることで、ひとつの業務が成立します。

タスクマイニングとは、パソコンの操作履歴をツールが自動的に収集・分析することです。タスクマイニングツールは収集したログの中から、業務にどのような「タスク」が存在するのか、タスクがどのように繋がっているのか、 パターン化しているタスクの繋がりは存在するか、といったことを可視化します。

一般的に、タスクマイニングは「ひとつのパソコンの中で行われている作業」を分析対象にします。

従業員は普段どおりにパソコンを操作するだけでよいため、タスクマイニングによる従業員の負担はほとんどありません。

タスクマイニングツールでおすすめは「D-Analyzer(ディーアナライザー)」です。
導入が簡単なので、多くの従業員のパソコンにインストールし、普段通り業務をするだけで、タスクを網羅的に把握できます。
D-Analyzerについて詳しく見る

プロセスマイニングツール

ここでいうプロセスとは、複数のパソコン操作をまたぐ大きな業務の流れのことです。 大規模な業務となると、各個人のパソコンから基幹業務システムや顧客管理システムにアクセスし、さまざまな操作を行うことになります。

プロセスマイニングとは、それぞれのシステムが出力するイベントログというデータを自動的に収集・分析することです。プロセスマイニングツールは、ビッグデータの中から、業務にどのような「流れ」が存在するのか、どのような流れがパターン化しているのかを可視化します。

プロセスマイニングの場合も、従業員は普段どおりにパソコンを操作して業務を行うだけです。

RPA支援ツールを使いわける

タスクマイニングとプロセスマイニングは似たようなツールですが、分析対象が異なります。 タスクマイニングは、業務におけるミクロなタスクを可視化します。プロセスマイニングは、業務におけるマクロな流れを可視化します。

タスクマイニングとプロセスマイニングは、お互いに補いあう関係にあるといえるでしょう。一般に、タスクマイニングツールでは、複数のパソコンにまたがる操作は一連のプロセスとして追いかけきれません。 いっぽう、プロセスマイニングツールは個々のパソコンの内部でどのような操作がされているのか、という詳細までは把握できません。

RPA支援ツールを比較検討するときは、複数のツールを組み合わせることで目的をより効率的に達成できるかどうか、といった観点も重要になるでしょう。

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まとめ:RPAツールおよびRPA支援ツールを比較するときに注目したいポイント

ここではRPAツールおよびRPA支援ツールを比較するときに注目したいポイントを解説しました。

まず、RPAツールを比較・検討するまえに、そもそもRPAの導入によって費用対効果がプラスになるかどうかを検討しましょう。 RPAは導入しさえすれば人件費が削減できる、というものではありません。 RPAには向き不向きがあり、不向きな業務をむりやりRPA化しても費用対効果はマイナスになります。事前にRPA化すべき業務を洗い出しておくことが重要です。

RPAツールを比較するときは、RPAツールがどのようなスタイルで提供されるのか把握しておきましょう。 デスクトップ型は導入が比較的容易ですが、導入規模の拡大に比例してコストが大きくなります。 サーバー型は初期コストこそ高いものの、導入規模が大きくなると相対的に割安となります。

オンプレミス型とクラウド型、というスタイルの区別もあります。オンプレミス型はパソコンのさまざまなアプリケーションを操作できますが、コストは割高になります。 クラウド型はコストこそ割安ですが、基本的にはWEBブラウザのみを操作します。 クラウド型を利用するなら、すでに運用しているクラウドサービスを自動化する、現在の業務で利用しているアプリケーションをクラウドサービスに置きかえる、といった方法が考えられます。

RPA支援ツールが登場したことで、RPAをいっそう導入・運用しやすくなりました。 特にRPAは導入時にコストがかかりがちなソリューションですが、RPA支援ツールは導入時に必要な「RPA化すべき業務の洗い出し」を自動的に行ってくれます。 RPA支援ツールを比較検討するときは、複数のツールを組み合わせることで目的をより効率的に達成できるかどうか、といった観点が重要です。