事務業務へのRPA導入事例から見る!業務効率化や生産性向上の実態

2019年12月19日

RPAを活用した事務業務

多くの企業・組織では、煩雑で膨大な事務業務が社員・職員の労働生産性を低下させていると言われています。 そのため、RPAによる業務自動化を事務業務に導入した組織の成功事例は、労働時間の削減や業務効率化を目指す現場ユーザーから経営陣まで、幅広い層の関心を集めています。

最近では一般企業のみならず政府や自治体もRPAを活用しており、事例が多様化しているのもポイントです。 今回は、地方自治体の事務業務へのRPA導入事例を取り上げ、どのような課題をRPAで解決したのか、事務業務へのRPA導入でどのようなメリットがあったのかをご紹介します。

なぜ今、地方自治体でRPAの導入が加速しているのか

個々の事例をご紹介する前に、地方自治体が抱える課題点を整理しておきましょう。 国内の労働人口減少や都市部への人口流入増加を背景に、多くの自治体では十分な職員を確保できない現状があります。自治体の業務もスリム化や電子化が進みつつありますが、それに伴い、限られた人員で膨大な量の紙・電子申請書類などを処理する必要があり、職員の業務負荷の増大を招いていました。

自治体へのITの導入も推進されてはいますが、まずは業務プロセスそのものの見直しや無駄の削減が急務となっています。 特に膨大な事務業務における業務効率化を図り、空いた時間や人員を住民サービスのように付加価値の高い業務に充てることが、自治体における生産性向上のポイントになるかと思われます。

RPAによる業務の自動化は、これらの課題を解決しながら働き方改革を推進するツールとして期待され、地方自治体では実証実験や本格導入の事例が増加しています。

単純作業中心の事務業務にRPAを導入した事例:茨城県つくば市

茨城県つくば市は、全国で初めてRPA導入に踏み切った地方自治体です。 RPAを導入する際、大量処理が発生する単純作業に焦点を当てて対象業務を選定。 導入対象業務の一つである市民窓口課での異動届受理通知業務では、RPAで自動化した業務に関わる時間が大幅に短縮されました。

またつくば市では、限られた人員で業務を効率化すべく、受理通知の発送簿作成業務にRPAを導入。システムによる住民情報の検索・照会や発送簿へのコピー・貼り付け作業を自動化しています。 導入前は年間で約85時間かかっていた業務がおよそ14時間にまで短縮され、削減率は約83%に上ります。その結果、課の業務が効率化されて職員が行政サービスに集中しやすい環境を整えることができました。それだけでなく、ロボットが実行する正確な作業により、業務品質が向上するといった導入効果も上がっています。

出典:
自治体におけるAI・ロボティクスの活用事例

単純作業にRPAを導入するメリット

RPAにもっとも向いている業務は作業手順やルールが決まっており、繰り返し実行されるルーティンワークです。 定型業務をRPAで自動化すれば、人が手作業で業務にあたるよりも大幅に作業時間を短縮できます。大量の定型業務を処理しなければいけない職場においては、RPA導入後にその利便性を大きく感じられるでしょう。
RPAはいくら長時間の労働をしても疲れることがなく、定められたルールに従い処理を繰り返すため、精度が落ちることもありません。24時間365日稼働させることができます。

つくば市の受理通知の発送簿作成業務では、異動届とシステム上の登録情報との照合作業や、コピー&ペーストなどの単純作業が大量に発生していました。 このような単純業務をRPA化するとロボットが休日や勤務時間外などに関係なく、コンスタントに作業を繰り返します。処理速度も人間と比べて格段に早く、RPA導入前と比較して稼働時間の大幅短縮が可能となりました。

さらに、RPAで単純作業を自動化したことで職員はクリエイティブな仕事に専念できるようになったため、組織の利益向上にもつながっています。新たな企画や開発を進めたい場合には、クリエイティブな業務に人員を投入できるため特にRPAが役立つわけです。

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RPAにOCRを組み合わせて事務業務に導入した事例:愛知県一宮市

愛知県一宮市はRPAとOCR(光学的文字認識)を組みわせて、個人住民税の入力業務のスリム化に成功しました。 年間18,000件以上の膨大な件数のうち、eLTAX(地方税ポータルシステム)を活用してデータとして提出される給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書は5%程度。 それ以外の郵送による届出書は手書きか印刷されたものであり、職員が手作業で入力する必要がありました。そのため、業務負荷が課題とされていました。

そこで、届出書の読取りはOCRを活用して職員がスキャンを行い、住民税システムへの入力作業はRPAロボットが実行するようにし、RPAとOCRを組み合わせてシステム入力業務を省力化。RPA導入前後で、職員の作業時間が194時間削減されました。さらに、OCRの読取り精度を高めれば、年間438時間の作業時間削減が期待できるとしています。

RPAにOCRを組み合わせて導入したことで、業務のスリム化や職員の負担軽減が実現されただけでなく、生産性向上を通して働き方改革が図れるとしています。

出典:
自治体におけるAI・ロボティクスの活用事例

RPAにOCRを組み合わせることによるメリット

OCRはRPAと親和性が高く、弱点を補うような技術であり、RPAにOCRを組み合わせて導入し、業務効率化と生産性向上を実現させた事例は増加傾向です。

そこで登場するのがOCRです。OCRを利用すれば、手書きや印刷された文字を読み取ってデジタルデータに変換してくれます。OCRの文字認識精度も上がってきており、文字認識AIと組み合わせることで手書き文字でも認識率が99%を超えるサービスもあります。

ただしOCRで実現できるのは手書きや印刷された書類をテキストデータ化するところまでです。 その先のテキストデータをシステムに入力するといったところはRPAがなければできません。OCRが人の「目」に相当するとすれば、「手足」に相当するRPAと組み合わせることで初めて、「手書きや印刷された書類を読み取ってシステムに登録する」といった自動化が完成するのです。

RPA化につながる業務イメージ

「RPA×事務」で業務負担の軽減と業務品質の向上を実現

今回はRPAの事務業務への導入事例として、2つの地方自治体の取り組みをご紹介しました。各自治体がRPAで自動化する業務は入力、検索、照合、集計、コピー&ペーストといった単純作業が中心になります。 しかし、これらの業務は処理件数が多く、人手による作業時間がかかっており、職員の長時間勤務を招く要因となっていました。また、手作業ではミスが避けられない点も課題です。 それらに対して、RPAの導入によって各自治体が得られた、あるいは見込んだ効果を以下にまとめました。

  • 業務効率化…業務時間や工数を大幅に削減できる業務がある。
  • 本来の業務への集中…自動化で削減できた時間を住民サービスの向上などに有効活用できる。
  • 勤務時間の適正化…職員の時間外勤務の削減が可能になる。
  • 業務品質の改善…ロボットが行う業務でミスがなくなることで、正確性が確保される。
  • 業務のスリム化…適用業務の選定時、業務プロセスを見直して無駄を省くことができる。

ただし、RPAを導入するだけですべての業務にメリットが生じるわけではありません。RPAを適用する業務を精査する際はまず、候補業務の洗い出しやフローのマニュアル化をしっかり行うことが重要です。そのうえでRPA化に向いており、なおかつ業務時間や工数削減が見込める業務を選ぶべきだと言えます。 こういった業務の可視化や整理ができていなく、作業が属人化してしまっているような組織では、RPAを導入しても活用できる範囲が狭まり、思ったような効果を発揮することはできないでしょう。

肝となるRPA導入の成否を分ける対象業務の選別は、株式会社テンダが提供するソリューションプラットフォーム「D-Analyzer(ディーアナライザー)」を活用すれば、業務の洗い出しから業務プロセスの可視化まですべて自動で行えます。
D-Analyzerは、対象のパソコンにインストールし、普段通りの業務を行うだけで、どのような業務にどれだけ時間を使っているか、フロチャート形式で可視化することができ、RPA化に適したプロセスや業務改善が必要な箇所の把握に役立ちます。

また、RPAのような新たな技術を初めて導入する際はスモールスタートが望ましいとされています。 RPAを導入しているどの地方自治体でも、本格導入前に業務を限定してテスト導入やPoC(概念検証)といった実証実験を実施することで、効果測定と課題の抽出を行ってきました。 D-Analyzerは、このようなテスト導入やPoC、そして本格導入後に必要な効果測定にも対応しており、RPAの導入を短期間かつ低コストでサポートします。
今回ご紹介した事例はあくまで、一部の自治体のケースになります。 RPAが自社でどのように効果を発揮できるか、RPAによって事務の業務効率化とスリム化を進め、働き方改革を実現するためにも、RPA導入をトータルで支援するテンダのD-Analyzerをぜひご活用ください。

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