RPA 導入支援サービスとは?できることを解説

2020年3月12日

RPAの導入支援をする女性

2018年ごろから、日本でもRPA(Robotic Process Automation)が本格的に普及し始めました。 RPAとは、パソコンを自動的に操作するソフトウェアロボットに、パターン化している業務を任せるソリューションのことです。 企業だけでなく自治体にも導入が浸透しており、導入した多くの組織は「今後も適用範囲の拡大を図りたい」と感じているようです。 定型的なデスクワークをソフトウェアロボットに任せる動きは、これからさらに加速していくでしょう。

いっぽう、RPAを導入するとき「なにから手をつければいいのかわからない」「適切にソフトウェアロボットを作成できず、効果があがっていない」という声もしばしば聞かれます。

導入段階におけるハードルを解決するため、最近ではRPAの導入支援サービスがさかんに提供されるようになりました。

RPA導入支援サービスの形はさまざまです。 ここではまず、RPA導入支援サービスを利用する前に必要な基礎知識を解説します。次に、いくつかのRPA導入支援サービスのスタイルを解説します。

導入支援サービスを利用する前に、RPAを知る

RPA導入支援サービスは便利ですが、本丸であるRPAに関する基礎知識がないと「そのサービスが自社のRPA導入に有用かどうか」を判断することができません。 すみずみまで知り尽くす必要はありませんが、RPAがどのような性質のものか、どのような業務を自動化できるのか、といったことを理解しておくことが重要です。RPAの性質を知ることで、導入支援サービスの要否もおのずと見えてくるでしょう。

RPAは、あらかじめ記録された手順にしたがってパソコンを操作するソリューションです。 これがRPAの最大の特徴であり、得意なことと苦手なことを決定づけています。それぞれ、得意なことと苦手なことを詳しく解説します。

RPAが得意なこと

RPAは記録された手順を正確に繰り返します。デスクワークには多くの「決まった手順の業務」があります。 たとえば経費精算の処理、採用活動時のアポイントメント設定、営業活動における見積もり資料の作成などは、同じ作業の繰り返しであるケースが多くあります。 RPAは人間のかわりにパソコンを操作し、あらかじめ設定された手順にしたがって業務を実行します。

RPAは人間と違って、疲れません。ケアレスミスもありません。同じことを繰り返してもモチベーションが下がりません。

RPAツールで設定した手順を「ソフトウェアロボット」と呼びます。パソコンの中で動き続けるソフトウェアロボットは、工場の中で動き続ける産業用ロボットに似ています。 電力が供給されていれば24時間休みなく製品を生産しつづける産業用ロボットと同じように、ソフトウェアロボットもまた、電力が供給されていれば24時間休みなく業務を実行しつづけることができます。

RPAが苦手なこと

RPAは記録した手順のことしかできません。人間がなにげなくやっている「いい感じに処理する」ということが、RPAにはできません。 たとえば、経費精算の処理において、金額が桁違いに間違っている内容があったとしましょう。 担当者が人間であれば「なにかおかしいぞ」と判断して関係各所に問いただす、といった行動を取れるでしょう。

ですが、ソフトウェアロボットは違います。あらかじめ例外の内容と処理手順をソフトウェアロボットに登録しておかなければ、ソフトウェアロボットは例外に対応できません。RPAは人間と違って、臨機応変に対応することができません。

人間が見れば「明らかにおかしい」ということが発生していても、ソフトウェアロボットは「処理できる」内容を処理してしまいます。 同様に、人間が見れば「考えればわかる」ことであっても、ソフトウェアロボットには分かりません。 表計算ソフトウェアのセルが決まった場所からひとつズレているだけで、ソフトウェアロボットはエラーを起こして止まってしまいます。この特性を十分に勘案しないと、ソフトウェアロボットのメンテナンスが頻発してしまいます。

RPAが得意なことと苦手なことまとめ

RPAが得意なこと

  • 定型的な業務(手順が細部まで決まっている)
  • 反復性が高い業務(1日に何度も繰り返す作業である)
  • いつでも動く必要がある(電源さえ入っていればいつでも動ける)

RPAが苦手なこと

  • 人間の判断が多く必要となる業務(例外が多く発生する業務)
  • クリエイティブな業務(現在のロボットにはまだ創造性はありません)
  • 手順が間違っていなかどうかの自己検証(人間が判断する必要があります)

RPAは、いわば「何も知らないけれど、言われたことは忠実に実行する、自発的に成長しない新人」です。 手取り足取り、一から十までを丁寧に教えてあげれば驚異的な能力を発揮します。ですが、言われていないことは実行できません。 言ったとおりには動きますが、気を利かせて動くことはできないのです。また、中身はロボットですから、自発的な成長も望めません。 すでに存在する煩雑な業務を肩代わりしてくれる人を雇う、という感覚が正しいでしょう。

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人間によるRPA導入支援サービス

ここまで述べたように、RPAは得意分野の業務に適用すれば業務効率を大幅に改善できるソリューションです。 いっぽう、得意でない分野の業務に適用すると、かえって業務効率を下げてしまうことになりかねません。

以上のようなRPAの基礎知識があるとしても、自社におけるどの業務がRPAに向いているのか・向いていないのか、という判断は難しいものですし、時間もかかります。このニーズにこたえる形で、RPAの専門家がRPAの導入を支援する、というサービスが提供されています。

RPA導入支援コンサルティング

RPA導入支援コンサルティングとは、RPAに精通したコンサルタントが、RPA化すべき業務の洗い出しや、RPAツールでソフトウェアロボットを作成する、というサービスです。

コンサルタントはRPAに精通しており、導入支援の実績も豊富でしょうから、RPA導入支援として頼れるサービスでしょう。 コンサルティングの提供元は、RPAのベンダーだけではありません。複数のRPAツールの扱いに精通した、RPA導入支援コンサルティングを専門とする企業もあります。

いっぽう、導入支援コンサルティングには大きめの不確定要素があります。一般に、外部のコンサルタント会社に導入支援を依頼すると、業務担当者へのヒアリングから始まります。 ですがRPA導入支援コンサルタントは、RPAの専門家であって、現場における業務の専門家ではありません。 したがって、少なからずヒアリング結果を正しく解釈できない、というリスクがありえます。

実務担当者の意見にはどうしても主観が含まれてしまいます。業務に詳しくないと、主観的な意見なのか、客観的な意見なのか、判断することが難しくなります。 RPA化に前向きすぎる実務担当者は、本来はRPAに向いていない業務でも「RPAに向いていると思う」と答えてしまいがちです。 一方、RPA化に非協力的な実務担当者は、本来はRPAに向いている業務でも「RPAに向いていない」と答えてしまいがちです。 これは実務担当者に悪意があるのではなく、自然とそうなってしまうのです。

また、ヒアリングはおうおうにして多くのヒューマンリソースを要求します。業務担当者は実務と並行してヒアリングを受け、ソフトウェアロボット用のマニュアルを作ることになりますから、タスクが重くなってしまう、というデメリットもあります。

RPA導入後の支援サービス

RPAを導入した後にもひきつづき支援を行ってくれるサービスもあります。RPAツールの保守運用、新しいソフトウェアロボットの作成、既存のソフトウェアロボットのメンテナンス、RPAツールの使いかたを担当者へレクチャーする、といった業務が該当します。

ここまでくるともはや業務の委託といえるかもしれませんが、全ての業務を人間へ委託する場合に比べれば、費用対効果は良いでしょう。 ソフトウェアロボットによって実質的な従業員は増えているわけですから、ソフトウェアロボットの管理担当者を置くことは合理的であるといえます。

もちろん、従業員がソフトウェアロボットを自力で構築し、適切に運用できるようになれば、導入後の支援サービスはRPAツールの保守運用程度でよいかもしれません。

ツールによるRPA導入支援サービス

RPA導入支援ツールのイメージ

RPA導入支援のコンサルティングや、RPA導入後の支援サービスは、いずれもRPAに詳しい「人間」が働くRPA導入支援サービスです。

これらに対して、徹底的に自動化してしまおう、というアプローチのサービスが、RPA導入支援ツールです。RPA導入支援ツールは、タスクマイニングやプロセスマイニングといった手法によって、RPA化する業務の洗い出しを自動化します。

タスクマイニングツール

タスクマイニングとは、膨大なデータを収集・分析し、業務における「作業の最小単位」を発見することです。 タスクマイニングツールはパソコンの操作履歴を自動的に収集・分析し、作業の最小単位を発見します。

従業員は普段どおりにパソコンを操作し、業務を行うだけです。ツールが操作履歴を収集・分析して、ソフトウェアロボットに設定すべき作業を抽出してくれます。

プロセスマイニングツール

プロセスマイニングとは、膨大なデータを分析し、パターン化している「業務の流れ」を発見することです。 プロセスマイニングツールは、システムのイベントログを自動的に収集・分析し、業務の流れを可視化します。

タスクマイニングツールと同様に、プロセスマイニングツールを利用する場合も、従業員は普段どおりにパソコンを操作し、業務を行うだけです。 ツールがシステムのログを収集・分析して、パターン化している業務の流れを抽出してくれます。

RPAの導入支援はツールの利用とヒアリング合わせ技がカギ

タスクマイニングツールは、業務におけるミクロな「タスク」を自動的に抽出します。
そして、プロセスマイニングツールは、業務におけるマクロな「フロー」を自動的に抽出します。

いずれも客観的な分析結果にもとづいてタスクやフローを抽出できるため、ソフトウェアロボットを効率的に作成できる可能性が高くなります。

ですが、RPA導入支援ツールも万能ではありません。業務においては、ツールを利用してもなお、数値に表れないさまざまな要素が必ずといっていいほど存在します。 どれほど膨大なデータを集めても、どれほど高度な分析手法をもちいても、データから出てくるのはデータに含まれていることだけです。 分析結果から「定型的で反復性が高い」と判断した業務であっても、実際には人間の判断が多く含まれていた、ということはしばしばあることです。

したがって、RPA導入支援ツールによる分析結果を材料にヒアリングを実施する、という「合わせ技」が、スムーズなRPAの導入に役立つことでしょう。ヒアリングを実施するコンサルタントは現場でなにが起きているのか知ることができますし、ヒアリングを受ける実務担当者も、客観的な材料がそろっていれば、自身の主観的な意見をしりぞけた議論がしやすくなるでしょう。
実際にRPAの導入支援を行っている企業では、コンサルが専用のツールを活用し、効果的にヒアリングを行うなどの対応をしているところも存在します。

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まとめ:RPA導入支援サービスとは

ここではまず、RPA導入支援サービスを利用する前に必要な基礎知識を解説しました。次に、いくつかのRPA導入支援サービスのスタイルを解説しました。

RPAとは、あらかじめ記録された手順にしたがってパソコンを操作するソリューションです。 RPAが得意なことは、定型的で反復性がある業務です。人間と違って疲れず、ミスをしません。 RPAが苦手なことは、あいまいな判断が多く含まれる業務です。 人間と違って「いい感じ」に処理することができず、創造的な業務にいたっては苦手を通り越して不可能である、と言って良いでしょう。

RPA導入支援サービスとしては、おおまかに「人間が働く」サービスと「機械が働く」サービスがあります。
現在のトレンドは、ツールとしてのRPA導入支援サービスを利用することで、RPA導入時における従業員の負担をいっそう減らす、という風向きのようです。 特に海外ではさまざまなRPA導入支援ツールがサービスとして提供され、積極的に活用されているようです。

日本ではコンサルティングが主なRPA導入支援サービスとなっていますが、日本製のRPA導入支援ツールも提供されるようになっています。これを機に、ツールを活用したRPA導入支援サービスも検討してみてはいかがでしょうか。